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週末のヒーロー。 - 2013.11.23 Sat

11月23日 9時41分。
そう,こんなはずじゃなかった。
予想だにしていなかった今日の日のこと。

先日友人宅を訪問したとき,SLを運転している旦那さんが言っていた。
「今週末が,今年最後の運転」だと。

昨年,にわか鉄子に名乗りを上げたのだから,これは見に行かねば。



11月23日 9時20分。
そう,このときまでは全てが順調だった。

その角を曲がったら駅到着。あと20分はあるな。余裕だグフフ。

ところが,角を曲がった途端,事態は急変した。いつもの駐車場が満車。
ウ~ン。仕方ない。次の駐車場。満車。次は?満車。その隣は?満車。

ウソッ,どうしよう。見渡してみると最寄りの駐車場が全て満車だった。


駅を目の前にして,一体どこに車を停めればいいの?
しかも,一度も通ったことのない道に迷い込み,焦りと不安は募った。

むなしくも,駅からどんどん遠のいていく。
それなのに,駅周辺という事実だけは変わらない。
こんな時に限って,遮断機に3度もひっかかった。
その時,時刻は既に9時33分。


まさかの,これは間に合わない。
これまでの人生で,
こんな短時間のうち何度も諦めかけることがあっただろうか。


やっと駅周辺に戻ってきたとき,
晴れ渡った青空に,突如1ヵ所だけたちのぼる黒煙を見た。

はやくはやく青信号,と急かす。行かねば,という思いしかなかった。


最寄りの駐車場も満車でしばし待つことになった。
はやくしてー誰か~。助けてー誰か~。やっぱりそこでも諦めかけた。

だって時計の針は,9時38分を指していたから。


駐車してからも,半ば諦めていたがだめもとで走った。
思った以上に足取りは軽く,すっごく早く走れる気がした。

赤信号中に用意していた200円を握りしめ,改札口で美人なお姉さんに無我夢中で言う。

「SLは?SLは何時ですか?」
「9時44分です」

よんじゅうよんふーん!!3分のびたー!!いける。叫びたいほど勇気がわいた。
「あの,見送りに行きたいんです」
「では,入場券をお買い求めください」

美人なお姉さんは,もうどこか分からない突拍子もない遠くを指さして,冷たい顔で言った。

ガックリ・・・。いけない。

無言になった私を見て,お姉さんが言う。
「SLの見送りなんですか?モゥいいですよ,帰りに必ずチケットを買ってください」

「払いますから本当に」
逃げも隠れもしませんよ本当に。ほんとに。本当だからどうか信じて下さい。
とっさにお姉さんに200円玉を握らせようとしたが,お姉さんはキッという目をした。


そこから走った。だた,5番乗り場目指して走った。階段も1段飛ばし。


しかし,

5番と思っていたホームに,3番と書いてあった気がして,急に不安になった。

アレ?確かここだよね?間違っていないよね?

あー,なんともタイムロス!!
結果,階段をうろうろするはめになり,
さすがに2度目の階段登りは,手すりなしでは走れず足がもつれ,がくがくした。


階段をくだりながら,SLの黒いおしりを見つけた時,
ホームでは最終乗車のお知らせが入り,運転席は遠く,遠くに感じた。

待ってー。
ほどけたブーツの紐がからまっていたが,
そしてグダグダの速度で走っていたが,


あの3分のおかげで奇跡はおこった。


運転席をのぞきこむ。
本当に運転しているのがだんなさんなのか,
本当に今日だったかもう分からなくなって,腕章の名字で確かめる。

Photo6007_convert_20131123161943.jpg


間違いない。

ゼーハー駆け込み乗車はおやめくださいの状態で,
腕をたたいて,だんなさんの名前を呼んだ。


こんなはずじゃなかったんだけど,駐車場が空いてなくて・・・。

いやもう,そんなことはどうでも良かった。




駅に集まったたくさんの人々はカメラ片手に,出発の時を待っていた。

隣に立っていたお母さんが,
「見てごらん。石炭をスコップで入れているよ」
と小さな女の子に言っている声も,その時ははっきり聞こえた。


漆黒のボディに人の影がうつりこんで,
短めの煙突から,綿菓子を黒く染めたような煙が,もくもくとたちのぼっていた。

Photo6008_convert_20131123161922.jpg


集まった人々の不思議な熱気と,古めかしい車両と,
朝のひんやりした空気に,ちょっと背筋を伸ばしたくなる雰囲気。


制服に身を包んだだんなさんは,
多くの人の思いを乗せて走る週末のヒーローだった。

カメラ隊からの羨望のまなざし,楽しい旅を期待する乗客の笑顔。
すごい仕事だな・・・。

出発まで,その場に突っ立っていたわずか1分足らずの間に,
そんなことを思った。



SLが出発して,改札口でお金を払い,ゆっくり歩いて帰る帰り道。
息があがりすぎて,いつまでも苦しく,
でも達成感に溢れた,気持ちのよい胸の痛みだった。

アー歳とったな・・・。



さようならSL号,来年までごきげんよう。


鉄子より。



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深い森の奥に,
小さなフェルトケーキのお店がありました。
そこでは,工場長のナノチカと
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今日も森の奥では,ぶぶにゃんの
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